色即是空 空即是色
(色すなわちこれ空なり、空すなわちこれ色なり)
仏教界のベストセラー、超有名な般若心経の一節です。
当道場でも子供たちが大きな声でお唱えします。
聞いたことがある方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、その意味をご存知でしょうか?
ただ漠然に、「なにもない」といったり、意味や価値を認めない「虚無思想」に思われがちですが、そんな意味ではございません。
「色」とは、"目に見えるもの、見えないものすべての現象" を意味します。
「空」とは、"とらわれていない状態" を言います。
我々は様々な欲のもと、ものごとに執着してしまうのですが、「空」とは、その執着から解き放たれた状態を指すのです。
ご理解できますでしょうか?
もう少し噛み砕いてご説明しましょう。
例えば、一冊の本があるとします。その本を開いて顔に密着させたらどうなるでしょうか?
本を読むどころか、目の前がまっ暗になって何も見えなくなりますよね。
この状態が "ものごとに執着している状態、こだわり、しがみついている状態、本が好きで好きで、こだわって離れたくない状態" です。これが「色」。
次に本を顔から離して見てみます。ある程度まで離れてくると、本の内容がはっきりと見えます。
これが「空」の状態です。"ものごとにとらわれていない状態" です。
とらわれていないから、こだわっていないから、執着していないから、自由に本から顔を離すことができるのです。
離れてものを見ることができると、本の裏側だって見ることができます。ページもめくれます。本を投げることも可能です。
このように「色」と「空」の自由度はかなりの差が出てきます。
どうですか?ご理解いただけましたか?
「色(= ものごと)」に執着(= こだわって引っ付く)していると何も見えず、正しい判断ができない状態になります。
「色」に執着しない、つまり「空」の状態だと、全体がよく見え、感じ取れるようになります。
「色」も「空」も見ているものは同じですが、(上記の例えでは、見ているものは「本」です。)自分の見方が異なるだけで、まったく違う状態になってしまうのです。だから「色すなわちこれ空なり、空すなわちこれ色なり」なのです。
アニメの一休さんの有名なセリフに「気にしない気にしない、一休み一休み」というのがありますが、とても的を射ている名ゼリフだと思います。まさに「空」の状態に近づくための言葉です。
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